昭和の終わりころ、とあるスーパーの経営者と養鶏場の指導員の青年の出会いがありました。

何を思ったのか、鶏を見つめている青年の横で会社の儲からないぶりを語り始めた経営者。

聞いていた青年がひとこと「そんなの簡単だよ」(津軽弁から翻訳)と答えた。

経営者は詳しい説明を求めます。

「会社組織を部門に分けて損益計算をして、儲かってない部門を0か+にすれば、最後に儲かる部門しか残らない」という青年。

「すぐにうちに来てくれ」と青年をスカウトした経営者。住居を用意して、盛岡に連れてきました。

 

解説 元気がでるシステムの基本概念その1 部門損益

 ここでいう部門は、会社組織の工場、営業、総務といった職制の部門分けではなく、スーパーの肉、野菜、魚、一般のように同じ商品カテゴリーを部門とする。
 全く違っている商品ジャンルはそれで一部門とする。
 とあるスーパーでは、スーパー複数店のほかに、飲食店、ボーリング場、レンタルビデオ、書店といった部門を持っていました。

 部門損益を出した結果、レンタルビデオが最初の注力点となり、

 レンタルビデオ店に社内から選りすぐったメンバーを投入。営業利益を+にすべく奮闘。
 しかし、このレンタルビデオ店には、大きな弱点が・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、社長方針で「アダルトを置かない」
 精鋭を集めても+にできなかった部門として、0にすることに。
 レンタルビデオ店と利益の出ていた書店をセットにして、他社に売却した結果、営業利益を減らす要因がひとつ消えた。

 ※ TOCでいうところの選択と集中のプロセスですね

 

 

利益から組織を見る傍らで、現場の人たちと話す機会を作った青年(ここからはS氏とします)。
現場から「社長ってひどい人なんでしょ」という声を聞きました。当時、社長は現場に行くこともほとんどなく、現場への指示は管理職任せ、
社長への情報は、管理職から上がる報告だけ。当時、社長は「うちの社員は働かないやつばっかりだ」と思っていたそうです。

この状況を知ったS氏は、コミュニケーションミーティングを企画。スーパーの廃棄商品をつまみに現場担当者と社長が話し合うことで、
「社長って、良い人だ」という評判に変わりました。現場が社長と仲良くなることで居づらくなった人たちは会社を去っていったそうです。

次に、経理。毎月のように会議報告用のデータを求められる経理部門。異なる部門から別々のオーダーが毎回くるのを
よく耐えたものです。S氏は現場担当者がデータ置き場から勝手にデータを持っていけば、個別対応がなくなると考え、
必要なデータがそろったカタマリを作ることにしました(ワンファイル)。

データがあっても使い方が解らなければいけません。コンピュータ室や総務のメンバーが指導役です。
リコーのマイツールというソフト内蔵型のコンピュータを購入、集合教育で使い方を教えます。
この結果、コンピュータで困ったときに誰に聞けばいいか?が周知されました。
もちろん、これまで本社にこもりっきりの間接部門が現場と仲良くなるきっかけにもなっています。

 

(続く)